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寮生活は善か悪か?中学から親元を離れて得たこと失ったこと。


私は中学1年生で親元を離れて寮生活をはじめました。学校が中高一貫校なので、つごう6年間を寮で過ごすことになります。

つい先日までランドセルを背負っていた子供が中学1年で親元を離れるなんて早すぎる!と言う意見を多く耳にします。

ただその多くが単なる感想というか、なぜ早すぎるのか?については、あまり具体的でなかったり、感情論であったりすることが多い気がします。

そこで今回は、実際に6年間を寮で過ごした山口と、まさに今年の4月に中学1年生で寮生活を始めたばかりの白幡が、寮生活で感じた「良かったこと」や「悪かったこと」を、ありのままにお話ししてみたいと思います。

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まず周りから多く聞く意見を大別すると・・・

• まだ親が教えること、親から教わることが沢山あるのに早すぎる
• ホームシックや病気に怪我、学校で問題が起こっても親がすぐにサポートできない
• 寮生との関係など寮生活がうまくいかなければ学校も辞めなくてはならなくなる

言われると、その全てがその通りだと思います。

ただ、今となってはこう言う意見を聞いてはっきり言えるのは、じゃあいつになったら、どうなったら早すぎないのだろう?と言うこと。

私が通う広島県福山市にある英数学館は小中高の一貫校で、西日本で唯一、小学校-高校が国際バカロレアの認定校であったり、英語イマージョン教育といって色々な授業を英語で受けることによって自然と英語力が身に付く教育を行っていたり、あるいは探究学習をベースに、答えのない問いに対する学び方を学ぶ方法を学んだり、直近ではバスケットボール部が56年ぶり?に福山市からウィンターカップ(野球で言う甲子園みたいなもの)に出場が決定したり、最近にわかに注目を集めている学校です。

そんな学校だからか、県外からも多くの生徒が在籍していますが、遠方に住んでいて通学が難しい生徒は、必然的に学校の敷地内にある生徒寮で仲間とともに学生生活を送ることになります。

沖縄、東京、静岡など全国から集まって来ています。

私たちも中学1年生で親元を離れた訳ですが、世の常として、特に祖父母や親戚からは心配の声があがりました。

曰く、まだ早い!朝も起きれないのに。何かあったらどうするの?アイデンティティが確立もされてないのに!(アイデンティティって…)

ただ両親が、「多様な社会を経験するのに早いも遅いもない」、「これからの社会はそもそも自分たちが生きてきた時代のリニアじゃない」、「答えがない社会を生きるためには、自分のコンパスを持つことしかない」、「親がしてあげられるのは選択肢を自分で拡げる準備をサポートすることくらい」とか・・・。

小学校6年生の自分にはわかるような、わからないような。でも言いたいことは何となく理解できました。

ちょっと進んでいるような、変わっているような感じですが、私たちが本当にやりたいと思ったことは全力で応援してくれるタイプの両親に育てられたことと、両親自身がいまだに新しいことにチャレンジをし続けているためか、寮生活も1つのチャレンジだと思い、飛び込むことができました。

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白幡:
私の場合は、地元の中学と英数学館で悩んでいた時に父親から、世の中にはメリットとかデメリットがあるけど、一度両方を表にしてみればいいよとアドバイスをもらいました。例えば英数学館に行くと、メリットは英語ができるようになるけど、デメリットは小学校時代の友人と離れることになるとか。表を埋めたときに、メリットが多くて、デメリットはチャレンジすることでメリットに変えられることが多そうな気がしたので英数学館を選びました。

寮生活が始まった当初は、すごく不安でいっぱいでした。友達はできるんだろうか?洗濯やアイロンはどうやってやるんだろう?模様替えってしていいのかなぁ?朝起きれるだろうか?宿題でわからない時はどうしたらいいのか。消灯時間を過ぎて起きていたら怒られるのか。熱が出たら誰に言えばいいのか。はたまた、静かにしなくちゃいけないって思うあまり夜遅くにトイレに行くのも我慢していたくらいです。

その結果、寂しい、悲しい、悔しい、辛い・・・。負の感情のオンパレードでした。ホームシックにもかかって毎晩母親に電話したり、泣きながら寝たことも数えきれません。

加えて、自己管理。時間を何にどれだけ使うのか、極端な話し、宿題をやるやらない、お風呂に入るか入らないか、食事を食べ残すのも全て自分次第です。

誰も好き嫌いなく食べなさい!とは言ってくれません。

こんな風にスタートした寮生活でしたが、気づいてみるといつの間にか慣れていました。慣れていただけではなくて、実家で母親に起こされ、叱られ、管理されていた生活が、いつの間にか自分でできるようになっていました。

その理由を二人で考えてみたのが以下の通りです。寮生活で得れること、失うこと。まずはポジティブなことから考えてみたいと思います。

1. 先輩・後輩の関係が友達以上、家族未満

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何より、寮生同士の縦の関係が私たちを成長させてくれたと断言できます。これはもう何にも変えがたい寮生活史上最高のギフトだと思います。

悩み事や不安、学びの進捗や成績、友達や両親との関係。たまたま波長があう先輩や後輩に出会えたと言ってしまえばそれまでかもしれませんが、年齢を超えてあらゆることを語りあえる兄弟のような関係をつくることができました。

喧嘩をしない何でも共有できる兄弟のような関係です。

単に語りあうだけではなく、ノートをどうしたら上手くとることができるか、勉強のノウハウ、先輩がスケジュール帳を使って時間の管理をしているのを見て、憧れて後輩がスケジュールや日記を付け始める、アイロンの上手な掛け方、ダイエット方法から好きな人のことまで、本当にあらゆることが先輩・後輩の間で共有され、煮詰められ、実社会でアウトプットされていきます。もちろん先生の特徴なども・・・。

思春期を辞書で引くと、「周囲の影響を受けながら一人の大人として自分を確立する時期です」と書かれていますが、まさに思春期ど真ん中に最も影響を受け・及ぼし合いながら、互いに成長していくのだと思います。

2. 他人と時間や空間を共有する多様な社会への第一歩を歩める

先輩・後輩に加えて、寮には寮母さんや舎監さん、学校の事務局など多様な方々が関係しています。

数人の教師も寮で生活しています。そんな中で生活すると言うことは、時間の使い方、コミュニケーションの多寡や方法、ご飯の食べ方や掃除に対する考え方など、それまでの家庭環境や育ち方、そして個々の性格によってまるで違った考え方ややり方を持ち寄って共同生活をおこなうことになります。

考え方の違いによって衝突も起こります。ただ、衝突したままでは共同生活は行えないので、悩みながらも自分が変わるか、相手が変わるか、妥協するか、両方の良いところをミックスさせるか、様々な選択肢の中で仲間たちと切磋琢磨しながら生活を送っていきます。

大切なのは、自分と違った考え方ややり方をする人がいると言うことを肌身で感じられること。自分のやり方だけが正しいのではないと言うことを知ること。

ダイバーシティに関する授業でも学びましたが、これが社会で生き抜くベースになると考えることができるようになったこと。

3. 寮の規則がうまい具合に自由すぎる環境をコントロールしてくれる

これが絶妙なんです。まず朝は点呼があるため眠かろうが何だろうが起きざるを得ない。毎日規則正しい環境にいると、目覚まし無しでも起きれるようになるものなんですね。

これは勉強時間や食事の時間なども決まっているため、自然と時間管理ができるようになります。

また寮の清掃も自分たちでするのですが、他人が清掃を疎かにしていると自分の身に降りかかってくるため、自分の役割をきちんとこなそうとするようになったり、先輩の部屋をみて人に見られることを意識して整理整頓をしたり。

冷蔵庫の使い方から、洗濯の時間配分まで、様々なことが寮の規則や共存関係にあるため自主的な規制を作り出したりと、自由すぎる環境を上手くコントロールするように、もっと言えば最適化されるようになっていきます。

この時間はあの先輩が洗濯機を使うから、もっと早い時間に洗濯を終わらせてしまおうとか、そんなことからさえ学ぶことがあります。

4. 寮母さんや舎監さんが優しくて厳しい

両親のように病気の世話から、健康管理までをしていただいている寮母さん、生活指導や監督をする舎監さん。もちろん個性はありますが、ものすごく優しい。そのうえ厳しい。

矛盾しているようですが、ある意味、両親から離れて生活している生徒を預かる里親?のような存在で、生徒が迷子にならないように暖かく見守っていただいています。

厳しすぎると避けたくもなりますが、たまに熱が出て寝込んだりすると、いつも厳しい寮母さんが母親のように看病してくれたりして、そう言う時に愛情を感じたりして、ものすごく安心したのを覚えています。

生徒だけでは解決が難しい問題も間に入ってくれて親身に聞いてくれたり、先日は寮にゴキブリが出て女子が騒いでいる時にも、さっさと駆除してくれたり・・・。

5. 自由に使える時間が多い

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学校に通う友人は、行き帰りの時間が1時間とか、長い友人で2時間とかかってしまいますが、私たちは学校の敷地内に寮があるため、通学時間が限りなくゼロに近い。これはもう、ものすごいメリットだと思います。

その分、自由になる時間が多い。
無駄に過ごすも、有意義に過ごすも君次第!

まさにこの時間に宿題をさっさと終わらせるのか、読書にあてるのか、Youtubeを見るのか、洗濯をするのかを問われます。

1日1時間だとしても、3年間で365時間。日になおすと15日程度もあります。加えて、起きる時間や就寝時間、食事の時間などが明確に決まっているので、時間をコントロールしなければならないと言う感情も芽生えて来ます。

先輩の時間の使い方を学んで、自分なりのオリジナルな生活リズムを確立していくこともできます。一生役立つベースができるのではないでしょうか。

言い始めるとまだまだありますが、1〜5で書いたとおり、結局は自分自身の自己管理能力であったり、自己を規制する力だったり、多様性を認識したり、その中で共存する力であったり、直接的にも間接的にも人と関わって生きていくと言うことを実地で学ぶことができます。

その過程で逃げ出したくもなるし、衝突もしたりしますが、それはいわゆる大人の社会に出ても同じことが言えるのではないでしょうか。

それらを早い段階、何より思春期に経験できることは結局のところメリットさえあれ、デメリットはチャレンジに置き換えられるのではないかと思います。

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マイナス面に目を向けると、

• 何をするにも自分次第
その通りです。無駄に時間を使うことも、不健康な生活を送ることも可能ですが、多感な時期であることから、先輩や寮母さんたちの影響で自然と良い方向に向かう人が多い気がします。
遊び呆けるのではないかと思われがちですが、寮の規則や寮母さんたちの存在がなかなかそれを許さない環境にあることも付け加えておきます。
• 人間関係がうまくいかない
あります。多くは自浄作用というか、共存環境の中で良い方向に向いていく人が多いのですが、確かに一部の友人はどうしても寮生活に馴染めず出ていく人もいます。
無理に継続して心身を壊すよりも、選択肢の1つとして寮生活を諦めるということも自身の成長になるのではないかと考えています。
• しつけが疎かになる
大いにあり得ます。ご飯の食べ方、礼儀礼節、規律など両親から直接教わることができません。
ただ、「あの子は躾が行き届いている。親がしっかりしているのね」などと聞きますが、両親の考え方やしつけ方に依存することが多いのも事実だと思います。
そのため寮生活で様々な他人から教わる、見様見真似をすることのメリットが多いのも事実です。
まだ躾の途中段階にある子供たちの集まりなので、中途半端かもしれませんが、実社会から学ぶという経験を早くからおこなえると言うことでもありますので、長短あるのではないでしょうか。
加えて早くから洗濯をしたり、掃除をしたり、制服にアイロンをかけたりと言った経験を積むことも可能です。
• 家族に会えなくて寂しい
必ず通ります。と言うか、これだけは感じる人はずっと感じ続けます。子離れ親離れと言う言葉がありますが、早々に自立の道を歩む人もいますが、家族に会いたいと言う感情はいつもどこかにあり続けます。
ただし会えた時の感情もより大きくなるのではないでしょうか。またZoom等のテレビ会議を使って、毎日のように今日あったことを話し合ってる寮生もいます。
昔に比べて寂しさを緩和する方法もあるかもしれません。


ここまで色々と書いて来ましたが、早くから寮生活を送ると言うことはメリットもデメリットもあります。

ただメリットもデメリットも裏表一体なのではないかと言ことが私たちの結論です。

また他人と共存して生きていく、まさに社会の中で生きていくと言うことを早くから経験するのが寮生活だと思います。

あう人、あわない人はいると思います。

ただそれは実社会に出てからも付きまとう事だと思うので、全ての人にお勧めできる訳ではありませんが、あわないと言うことを知ることも、自分の人生の選択肢を広げる上で、1つのチャンスではないかと思います。

長々と書いて来ましたが、寮生活最高です!笑

何かご質問やご相談があれば、現役の私たちでよければお答えいたしますので、何なりと仰ってください。最後までお読みいただき、ありがとうございます!

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