見出し画像

Color Your Daily Life 〜あなたの日常に彩を〜

みなさん、こんにちは。英数学館の渡辺です。

今回お届けするのは、9月13日にオンライン授業の一環として配信された「世界で活躍するスキルを身につけるには!?」と題した、TOOT社長「枡野 恵也」× 英数学館校長「永留 聡」によるオンライン特別対談の模様をお届けします。

今年に入り特別授業シリーズも4回目を迎えました。
第1回:慶應義塾大学SFC(長谷部葉子研究会)× 英数学館高等学校
    ~合同企画 高校生未来のマナビバ 3days~

第2回:ハーバード大学生 × 英数学館高校生
   「海外で学ぶこと、働くということ、生きていくこと」

第3回:元ラグビー日本代表キャプテンの廣瀬俊明氏
    「好き×得意を武器にする3つの選択」

今回はそれに続く第4回として「世界で活躍するスキルを身に付けるには?」をテーマに、これからの子どもたちが生き抜くために必要な力について60分間熱く語っていただきました。

画像1

枡野 恵也(ますの けいや)
世界で活躍する異色の経営者。東大からマッキンゼー、オンライン英会話最大手のレアジョブ、戦後初の独立系ベンチャー生命保険会社を経て、日本初の世界的なラグジュアリーブランドTOOTの社長を務める。面白さを追い求めている、世界を股にかけるパンツ屋さん。

画像2

永留 聡(ながとめ さとし)
長崎県佐世保市出身。静岡県の加藤学園、福岡県のリンデンホールスクールに続き、IBワールドスクール認定校を作るのは英数学館で3校目。現在は日本国際バカロレア教育学会の顧問、英数学館小・中・高等学校で校長を務める。


パンツと教育、繋ぐのはチャレンジ

― どんなことにチャレンジしている?

枡野:TOOTは2000年創業の会社です。男性下着の製造販売をしています。TOOTには3つの特徴があります。

まず1つめは履き心地が全然違う。見た目も心も自信が沸き起こるようなパンツです。一度履いたら他のパンツが履けなくなるほどです。

2つめはデザインです。男性向けの下着にも関わらず毎週新作を出し続けています。今までの5年間で1000種類のパンツを出してきました。

3つめは宮崎県日向市に自社工場があり、最高の品質を確保するために日本人スタッフが精魂込めて手作りしています。

「履き心地がよくて、デザインが面白くて、日本人が作っている。」
この3つがTOOTの強みです。

私は2015年に経営を引き継ぐことになりました。そのままでも面白く、実際に履いてみてびっくり!!履き心地の良さに感動したわけですけど、引き受けたからには、会社を自分なりにもう一段上にもってかないといけない。

その為に、TOOTをファッションブランドにしようと考えました。まず東京コレクションに出展しました。続いてミラノコレクション、ニューヨークファッションウィークに出したわけです。世界にチャレンジです。パンツのくせに・・・。

あと、地元ローカルコミュニティとのつながりを大事にしていこうということで、TOOTの商品が宮崎県日向市のふるさと納税の返礼品にしていただきました。

日向市はサーフィンの街として世界的に有名で、世界大会を街で開催しているのですが、その時に40カ国500人の集まった選手全員にパンツをプレゼントする形でプロモーションを行いました。ローカルからグローカルに繋げる取り組みとして、ユニークな取り組みだと実感しています。

男性の服装って、あまり自由がない気がしますが、TOOTが毎週毎週違ったデザインのパンツを出すのは、人は一人ひとり違うんだから、それぞれユニークで面白い、いろんなことがあっていいじゃない?という「抑圧からの解放」の象徴として、チャレンジのつもりでやっています。

私たちのメッセージは、
「Color your daily life」 あなたの日常に彩を!

その究極の究極が、子どもたちの夢が機関銃をもって兵隊になるという、土ぼこりにまみれたアスファルトもないコンゴ共和国の街で、世界にはもっとおもしろいことがあるということを証明するために、自分たちの月給6か月分のスーツを買って街を練り歩き、紳士のふるまいをするサプールという人たちがいます。

こんな世界に、ジェントルマンという新しい夢を!とチャレンジしている人たちです。

彼らにパンツを贈り、パンツ繋がりなんですが、人の日々を豊かにする、多彩にしていくってことは、世界平和に繋がっていくという信念をもって事業を行っています。


永留:私たちが英数学館としてチャレンジしていることを5つにまとめています。

1「世界をフィールドに生きる」
日本だけではなくてアメリカやイギリス、オーストラリア、世界のどこにいても幸福な人生が送れる人になってもらいたい。世界をフィールドに活躍できる人材を輩出していきたいと思っています。
2「正解のない問いに対する学び方を学ぶ」
これからの時代、教科書に載っていないことがたくさん出てくると思います。そのような場面でも立ち止まらず、冷静に対処できる。そんな生徒を作っていきたいと思っています。
3「自分だけの武器を見つける」
「好き」×「得意」=自分だけの武器を見つけましょう、ということをなげ掛けたり勇気づけたりしています。

自分が好きなことをとことん追求できるような学びの場を学校としても提供できればと思いますし、そういうことがいいんだよと伝えています。

ただし好きなことだけやるわけではなくて、嫌いなこともやらないといけない。そこの忍耐力も身に付けながら自分の興味関心があることをやっていく。これは国際バカロレアにも非常に通ずるところだと思います。
4「学びの場を選ばない」
4、5月はほとんどの小中高が休校になりましたが、本校においては4月からオンライン授業を開始しました。そういった意味で学校に来なくても学ぶことはできる。

ただし学校に来て議論をして、その議論の仮説をもってフィールドワークに行ったりICTをつかって、広島から東京の専門家の意見を聴いたり、どこにいてもある程度の学びができる。そういう環境を整えていきたいと思っています。
5「世界中のユニークな教師陣」
英数学館には5ヵ国18名の外国人教師がいます。世界中からいろんなユニークな教師陣を集めています。

いろんな国の文化を、ただ書籍やインターネットで見るのではなく、実際の日々の生活でいろんな国の教師と触れ合うことでその教師が持っている文化、考え方に接することで、いろんな文化への尊敬が生まれるんじゃないかなと思っています。

この5つの特徴を中心に英数学館はもっともっとチャレンジしていきたいなと思っています。


好奇心の行く先、目的地は自分で決める

― 安定した道ではなくチャレンジを続ける原動力とは?

枡野:人間は本能的に「分からない・知らない」ということが一番怖いものです。新しいチャレンジをするときは常に怖いです。それでもチャレンジする理由は、楽しそうだから。好奇心が抑えられない。新しいチャレンジに向き合う時はいつも怖さと好奇心の間で、どこで落としどころを付けるかと言うことだと思います。

今の場所を続けるという選択肢もあります。けど自分が成長しなくなる。現状に甘んじる。それで生きていける時代はいいけど、10年後には間違いなく相対的につらい時代が来るので自分をアップデートしていかないといけないですね。

今いる場所で、今よりもやりたいことがどんどんできるならずっといればいいと思います。ただ多くの既存の組織には既存の目標がある。

各組織には各組織のモットーがあって、それは大事だけど、自分の目的地と違ったら組織を辞めるしかない。

この30年くらいほとんどの組織は、行く先に明らかに暗雲が立ち込めているのが分かっていても、そのまま嵐にむかっている。このままでは共倒れだ、自分で別のほうに行かないといけないっていう中で、じゃあどこにいくか…

いろんな目的地を並べて自分で選んでいくほうが、私は楽しいです。楽しさこそ、私のチャレンジの原動力になっています。


現代の社長に求められているものとは

―社長ってどんなことをするの

枡野:まず1つめの仕事は会社なので売り上げを出すこと。そして売り上げから利益を出す。利益と売り上げの間に社員のみなさんの給料であるとかいろんなものがあります。

2つめの仕事は、お客様から頂いた感謝の総量たる売り上げを誰にどう分配するかを考えること。世の中のほとんどの仕事は、お客様からの感謝としてお金を受け取ります。受け取ったお金をどう分配するか。社員の給料はその分配の一部。取引先に払うお金も分配の一部。

3つめの仕事は、会社の方向性を決めること。めちゃくちゃなことを言い出すのはだいたい社長じゃないですか。ミラノコレクション目指すぞ!とか。笑

4つめの仕事は、社員が自発的自主的にやりたいことを進めれるようサポートをすること。これはまさに今私が、IBに関心をもっていることに通じています。

今の時代って、社長が社員を引っ張るだけでは会社経営は成り立たない。日常のあらゆるところで自分の想像しない新しいことが起きます。レベルの細かいこと1つ1つを社長が方向を示しても、正しいかどうかって分からない。

一番いいのは、担当がそれぞれ自分で考えて自分でやっていってくれることです。そのサポートこそが、現代の社長に求められているものだと思います。


―失敗談は?その時どうしたの?

枡野:これまでの人生で最大の失敗は、国家公務員試験に落ちたこと。私の人生がエリート街道と言われるなら、一番の躓き。かなり落ち込みました・・・。

部活動のバレーボールをやりすぎて国家公務員試験落ちたわけですけど、結果的に部活動が一番自分の身になっています。

バレーボールって1点2点にくよくよしていたらあっという間に負けます。失点後にすぐ立ち上がって、次どうしようかと思える気持ちの切り替えが大事。失敗しても立ち直る心構えはバレーボールから学びました。


―日本の教育とイマージョン教育の違いは?

永留:イマージョンっていうのは、日々の授業を中心に日常の50%を特定の言語を活用する教育方法です。英語イマージョンでは英語で算数、理科、社会などを勉強しています。

通常グラマー(文法)と言う、あまり面白くないものをやりながら単語を覚えて、テストに出るから覚えなさいという授業がたくさんあるのかなと思いますが、イマージョンは実際に英語を使いながら外国人の先生に教えてもらう。学びへのアプローチが全然違います。

また、特定の質問に対して、1つの正解ではなく、たくさんの答えが出るような投げかけをするという所も大きな違いかな、と思います。


―生徒に聞きました。実際にイマージョン教育を受けてみて、どう?

生徒:実際に3年間英語イマージョン教育をうけてみて、英語で数学をしたりするのは難しいですけど、会話の中で分からない単語も、何度か出てくるうちに自分なりに調べて解釈して、意味を理解できるようになるので、そうして覚えたものは記憶に残りやすいです。


主体性・情熱・好奇心・謙虚さをもって人生を楽しく

― 不透明な時代、世界に羽ばたいていく人になるために何が必要?

永留:主体性、情熱だと思います。自分が好きなことに出会うためにはたくさんのことをやっていないと出会うチャンスがない。

出会うチャンスを広げてあげるのが教職員の仕事かなとおもいます。そのためには外部の専門の先生に専門的な知識など、どんどん話をしてもらう。専門の人に触れ合う機会をたくさん持つことがこれからの教育に非常に大事。

そうすることで正解のない問いに対する応える姿勢の資質が出来上がるのではないかと思っています。

枡野:必要なものは2つ。好奇心と謙虚さ
自分が知らないことを知って、楽しめる人は豊かに楽しく人生を生きることができると思います。知らないことを知って楽しい人はいつまでも楽しい。

逆に知ることを嫌悪する人は、変わっていく世の中で、知らないことに心を閉ざしてしまう。ほとんどのことが知らないものが入ってくるこれからの世の中で、だいたい不幸せということです。

最も大切だと思う謙虚さは、自分を振り返って反省して自分を生まれ変わらせようとすること。自分とは違う、自分には関係ない、人の話をそう思って聞いていると、ただ見ているだけ、聞いているだけのテレビの視聴者と一緒です。それでは何も変わりません。

自分がやったこともない見たこともないことに好奇心を持って始めようとしたら、まず自分自身を変えないといけない。自分ならできると思って知らないところに言ったら、失敗することもあるでしょう。

その点、IBのプログラムを経験していると社会に出て知らないものと出会ったときに、否定するのではなく自分が変わればできるかな、と思える。

好奇心と反省する謙虚さがあれば、どこでも楽しくやれるはずです。


好きと得意で人生をアップデート

― 一歩を踏み出す勇気を持つためのメッセージを。

永留:様々なことにトライしてほしい。大きな一歩ではなく、少なくとも自分が暮らす地域でどんなことが行われていて、自分に何ができるかということを考えて、最終的に世界のために自分がどんなことができるかということにゴールを持っていける人になってほしいなと思います。

枡野:いきなり突き詰めるのではなくて2つか3つ、いろいろ手を出してみよう。手を出したらもっとやってみよう。その中でもっともパッションが湧いてきたものと、今いる場所と、どこに一番好きと得意が掛け算になるかっていうのを見つけましょう。

まず、自分が楽しくないと一緒に仕事をする周りも楽しくない。人生楽しく!

「ENJOY!!」