IBのVisual Arts集大成!Art Exhibition作品紹介②
前回に引き続き、この春卒業した高校3年IB生によるArt Exhibitionの作品紹介をしていきたいと思います。
Visual Artsのねらい
後編の今回は、まずDPにおける「芸術」科目のねらいについてご紹介します。
国際バカロレア機構(IBO)が発行する指導の手引きには、生徒が次のようになることと明記されています。
「芸術」のねらい
「芸術」科目のねらいは、生徒が次のようになることです。
1. 生涯にわたって芸術とのかかわりを楽しむ
2. 芸術の知識と振り返りの習慣をもつ批判的な立場から芸術と関わる人となる
3. 芸術の動的で変化し続ける特性を理解する
4. 時間、場所および文化を超えた芸術の多様性を探究し、その価値を認める
5. 自信をもって的確に考えを表現する
6. 認識および分析のためのスキルを培う
美術のねらい
さらに、SLおよびHLの美術コースのねらいは生徒が次のようになることです。
7. 個人および文化の文脈の影響を受けた作品を制作する
8. 視覚文化と表現手段についての知識をもった批判的な鑑賞者および制作者となる
9. 作品概念やアイデアを伝えるためのスキル、技法およびプロセスを培う
(※「美術」 指導の手引き - International Baccalaureate p.15より引用)
ねらいをふまえたうえで、今回の作品を見てみましょう。
作品作りのきっかけ
後編となる今回の作者は、あるアイドルが「好き」ということからその想いを表現した作品を展示しました。
はじめにテーマを「ポップカルチャー」とし、そこを突き詰めていくことでアイドルそのものの性質が見えてきたそうです。
その性質とは、今活躍しているアイドルは、過去に活躍したアイドルたちのいい部分を取り入れることで今輝いているということ。
100%オリジナルなグループは存在していないのではないか?ということでした。
過去のアイドルのいい部分を再利用しているという性質と、作品に用いる材料でリンクさせるということが、Exhibitionの大きなテーマとなったそうです。
鏡から見える世界は別世界
まず、「ライブ会場の観客」を表現した作品を紹介します。
こちらの作品には、本来捨てられるはずのシュレッダーされた紙が再利用されています。
シュレッダーされた紙を水に入れ形成し表現した観客は300。
限られた空間でよりたくさんの観客を表現する方法として、土台の部分には鏡が使用されています。
観客の間にはところどころ隙間が空いていて、上からの反射が鏡にくっきり見えるよう工夫がされています。
そこに映る景色は、どこか現実離れした別世界を表現しています。
そして目を引くのは、ところどころにあるアイドルの顔写真。
この顔写真は、アイドルが好きすぎてマインドコントロールされている極端な例を表現しています。
この極端な例を一部に入れたことで、よりカオスな空間を作り上げることに成功しました。
Reuse the Old
こちらの作品は、過去の生徒が使っていたスケッチブックのカバーをつなぎ合わせ巨大なキャンバスを作りアイドルのメンバーの一人を描きました。
その巨大なキャンバスに、黒白灰色のチョークを使い、ただ描いたのではなく、スケッチブックに残された落書きなどをそのまま生かし、過去の思い出があるまま作品を仕上げたことで、この作品のオリジナリティが表現されています。
そのほかにも、ある部屋の風景を描いた作品が数点あり、これは作者の日常の一部なんだそうです。
作者の日常ではあちらこちらに「好き」があふれている様子がよく分かりますね。
そして、その日常の光景をうまく作品として作り上げています。
まとめ
前回と今回、作品紹介をしてきましたがはじめに述べた芸術のねらいのように芸術と関わり、このArt Exhibitionを作り上げていることが分かります。
「好き」の表現方法は様々。
絵であったりオブジェであったり、「好き」を表現することができるVisual Artsの世界で、さらにあなたの「好き」を一緒に極めてみませんか?
最後まで読んでいただき、ありがとうございました♪