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ベテランと若者の立場が逆転する社会での学校の役割とは?

みなさん
英数学館小・中・高等学校校長の永留です。
英数学館は本日入学式を執り行いました。新入生のみなさん、入学おめでとうございます。

昨年はコロナウィルスが地球規模で蔓延する中、学校も無縁ではいられませんでした。

授業をオンラインで実施したり、多くのイベントも中止や延期となりました。卒業式や入学式を簡素化せざるを得なかったことは学校を預かる身として、本当に心苦しいものでした。

ウィズコロナ社会などとも言われますが、コロナに関わらず地震や豪雨などこれからも社会を脅かす脅威とは多かれ少なかれ付き合っていかなければなりません。

以前このnoteでもお伝えしましたが、みなさんが漕ぎ出す社会は、国同士があらゆる利害を超えて繋がり、多くの分野で人工知能やロボットが人に代わって働くことになるのでしょう。

自分よりも自分の事を理解している“何か”が、自分の選択肢を提示してくれるかもしれません。

株の売買にしろ、洋服や書籍にしろ既にあなたが好きそうなものを勝手に勧めてくれますし、家に帰る時間を見計らって暖房をつけたりお風呂をわかしてくれたり。

自動運転もすぐそこまで来ています。トヨタ自動車がすすめる新しい街の形ウーブンシティなどは、教育、健康、物流から電力まで、全てを最適化するような、まるでドラえもんのような世界観を提供してくれるでしょう。

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Volatility(変動性・不安定さ)、Uncertainty(不確実性・不確定さ)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性・不明確さ)という4つのキーワードの頭文字から取ったVUCA(ブカ・ブーカ)が、これからの社会を表す言葉として使われます。

学校長としては、こういう社会が来るからこういう知識やスキルが必要ですよ。だから学校では具体的にこういう○○な知識やスキルを与えますよ。

と胸をはって言いたいところですが、はっきり言って、具体的な知識やスキルでサバイブできる社会だとは、とてもじゃないけど思えません。

わたしたちの誰もが経験したことのない社会に突入するからです。

人類史上初めて、先人の知恵や知識が役に立たず、若者と立場が逆転した社会が到来するのかもしれません。

だとすれば、学校はみなさんにどんなことを教えて行けばいいのか。学校が提供できる価値はなんなのか、VUCAな社会を乗りこなし、新しい社会を創造していくみなさんに何を与えてあげられるのか。

私はこんな事ではないかと思い、カリキュラムの改善から社会連携、ICT活用や言語学習方法など、学校の変革を今本気で勧めています。

具体的には
・「好き」と「得意」を掛け算して、オンリーワンな自分になること
・変化に右往左往せず、むしろポジティブに利用するマインドセットを得ること
・失敗をたくさんして、失敗から学び取る姿勢をつくること
・自分と違う人や社会があることを認め、コラボレーションする力を育むこと


たくさんの「好き」を見つけて下さい。

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いろんな事に挑戦してみましょう。失敗しても大丈夫です。学校で失敗しても、いつでもいくらでも挽回できます。失敗を恐れずにたくさんの事に興味を持ちましょう。興味を持った事を深く掘り下げてみてください。

何かにチャレンジしたという経験そのものが、未来のあなたの大きな力になります。

学ぶということで言えば、日本には点を線に、線から面にという言葉があります。アップルの創業者で故スティーブ・ジョブス氏が、スタンフォード大学の卒業式で行った伝説のスピーチと言われる”Connecting the dots”(コネクティングドッツ)というものがあります。

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要約すると、今あなたがやっていること(点)はその時はあなたにとって、それほど意味をなさないかもしれないけれど、いずれその点と点が結びつき、新しい何かに繋がるかもしれない。

あなたの人生を創っているのは、今までのあなたの経験なんだよ。後で何に活きてくるかはわからないけれど、いろんなことに挑戦してね。まっすぐ進むことも大切だけど、寄り道することも大切だよ。というものです。


みなさんにお願いが二つあります。

一つ目は「好き」を見つけるために「たくさんの本を読みましょう」。

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きっとあなたの「好き」を引き出してくれると思います。さらに予測不可能な未来においては、先人の知恵や知識が役に立たなくなるかもしれない、と言いましたが本から知恵や知識を得ることはとても大切です。

本はいつでも、どこでも読むことができます。いろんなジャンルの本を読み、さまざま考え方や、いろんな国の文化に触れる事ができ、他者の考え方を受け入れる事を学ぶことができます。

フランスの哲学者・数学者として有名な「デカルト」は「良き書物を読むことは、過去の最も優れた人達と会話をかわすようなものである。」といっています。


二つ目は「自分と違う考え方の人がいる事を知りましょう。」

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学校に行く楽しみは、自分とは異なる人に会えるということです。一緒に机を並べて勉強し、文化祭や体育祭などの行事を一緒にしていくことで、その人のことをもっと深く知っていくことができます。

自分と異なる個性を持った人をたくさん見て、その人の個性を大切にすることは、自分にとっても大切なことなのです。

それは自分と異なる考え方の人を認める事で初めて、自分らしくそのままでいても周りから認めてもらえるからです。多様な人が集まる場所に行くことで、自分も変化できるということです。


英数学館は「好き」×「得意」で「ジブンだけの武器」を手に入れる学校を目指しています。

その手段の一つとして「国際バカロレアの教育プログラム」と「英語イマージョン・プログラム」を導入しています。

世界で活躍する人をグローバル人材と呼び、世界で活躍するために必要な能力を「グローバル力」と言います。英語を上手に話せる事は「グローバル力」の一つですが、もっと大切な事は、自分とは暮らしや考え方の違う人と理解し合う事だと思います。

英数学館は小中高を合わせると5か国20名の外国籍の先生がおります。みなさんは知らず知らずのうちに、異文化の中で学校生活を過ごすことになります。

さて、「グローバル力」とは何でしょうか?
私は「新たに出会う課題」を粘り強く克服していく力だと思っています。与えられた問題の正解を探すのではなく、正解の無い問題に挑戦する姿勢をもった人材と考えています。

未知なる課題は、今ある知識を利用して解決しなくてはなりません。だから今勉強するのです。また「好き」をもっと楽しむために、学校の勉強を使って欲しいと思います。


最後に保護者の皆様にお願いがあります。
学校はお子様の人格形成・価値観形成にとってとても大切な時期だと思います。何か「おかしいな?」、「様子が変だな?」、「こうしたらどうだろう?」という事があれば、ぜひ学校にご連絡ください。

ご家庭・お子様・学校が三位一体となって、お子様の成長を見守っていく必要があります。

お子様は日々成長されていき、その都度、課題や問題は変化していきます。その為には保護者の皆様との会話や対話を通しての相互理解、信頼関係の構築が必要不可欠となります。

是非とも保護者の皆様のご理解・ご協力をお願い申しあげます。


と、ここまで長々と書いてきましたが、私も全力でもっと良い学校づくりをしていきます!!という宣言でした。私の決意を書いた宣言文「正解や幸せの形が変わった今、学校教育も変える!校長の宣言。」もあわせてお読みいただければ幸いです。


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